すっぽんクエスト感想
目次
急に思い立って、前回ウディコン総合4位の すっぽんクエスト(完全版)2.0.7cをプレイしました。面白かったです。ちょっと諸々時間がアレなのですが、ずっと気になっていたので今年のウディコン始まる前にクリアできてよかったなあと思います。以下感想ですが、がっつりネタバレ含んでますのでお気を付けください。未プレイの方は見ないのが吉です。
全体 #
エンドは3でした。いやあ長かった……すげえ長編だった。本当にもうこれだけのボリュームの物語が描かれていることに圧倒されます。すごいゲームだった。演出すげえなあ。謎の明かし方やシナリオの配置がまあもうすごい、引き込む魅力が素晴らしい。徐々に分かっていく内容が新たな疑問を生じさせるので、先が気になって仕方がなかったです。後半は怒涛の展開が静かに進むという、押し寄せるようだけれども能動的に見つけていく形が、ゲームならではという感じで、もうすごいとしか言いようがありませんでした。すげえなあ。
序盤~前半に固まっているゲーム性と比べると後半はイベントがメインでしたが、物語の理解のしやすさ的にはそれがよかったんだろうなあと。シナリオのギミックが解かれていく段階なので。ただ後半にもゲーム的(物理的)なギミックはあるので、冗長さも感じずにプレイできました。それでも設定(キャラにせよ状況にせよ隠されていたものたち)の説明の文章が結構入ってくるため、これ時間置いたら細部絶対忘れるなあとなり、最初から最後までぶっ通しでやってまして、そうなるとラストは結構ヘロヘロで、最後のアクションにはさすがに「早く!!!!!!!エンディングを!!!!!!!!!見せてくれ!!!!!!!!!」と叫んでました(笑)。頼むから!お願いだから!もうそんな!気力が!ないの!でも今やめると!絶対細部忘れるから!お願い!今のうちに!終わりを見させて!助けて!もう許して!となりながら、無事クリアできました。よかった。やりきりました。満足です。しかし元の場所に戻るの難しかったなあ……(画像の使用法に後から気付きました)。
プレイ方法 #
主人公に感情移入しない方がいい的な注意書きがあったので、ものすごく警戒してラストまで色々疑ったままプレイしたのですが、今思うとそこまでビクビクしなくてよかったなあと。ちょっともったいない見方をしてしまったなと感じました。警戒しすぎたというか。主人公に感情移入しないように、主人公を信用しないようにしたせいで、他キャラにも感情移入、というか共感と信用をしきれずに、その世界への没入感を味わい切れなかったかなと。ただ終盤まで謎があるので、どのキャラを信用していいのか分からない部分もあったんですよね。これ最後で全部ひっくり返されるんじゃねえかと、かなりビクビクしてました。長編なので、長い間追いかけてきた最後の最後で悪い方向に裏切られると、もう大事なものが折れるなと。もたないなと。だから万が一のショックを減らせるように身構えまくっていたのですが、クリアするとそこまで裏の裏を読まなくても良かったなあと感じました。主人公シュンリのキャラとして、感情移入した方が良かった、とは言えないのですが、ただ少なくとも現在のシュンリの感覚を信じてプレイした方が、彼らの物語にもっと入り込めたかもしれないなあとも。警戒しすぎは諸刃の剣!
あと、シュンリは主人公だけあって、色々追体験できて分かりやすいのですが(元々の彼と関わっていたミンも)、ミオとダナにももう少しその部分があると、彼女たちの思考、感覚を理解しやすくなったかもしれないなあと思います。セリフでは語られていますし、ミオは描写もあるのですが(別ルームからのエピソードもどれも良かった……)。ただシュンリと比べると、彼女たちのバックグラウンド、生まれ育ちもありますが、何によって生み出され何によって規定されているのかが、少し見えにくかったかなと。ミオは特に、「彼女はそういうもの」という説明を、彼女自身を通してもっと感じられると、よりリアルな人物として感じられたかもしれないなあと思います。その点シキは、思考の追体験ができて分かりやすかったです。ゲームとしての必要性との親和性が高かったんだろうなあ。重要なSF設定の説明と絡んでくるので、それを軸とする人間性が自然と認識できていく感じですね。この辺の会話とか思考とか読むの楽しかったです。ただシュンリのキャラがキャラだけに、彼と似た傾向のあるシキよりも、彼の引力にとらわれるミオとそこに留まるダナの、その内側の光景を一瞬だけでも覗いてみたかったなあと。シュンリ視点一辺倒なら多分そんな風には感じなかったのですが、後半は結構視点や場面が切り替わるので、より複層的なものを見たくなったというか。ただボリュームがボリュームだけに、これは筋違いな話だなと思います。シュンリという存在の描写の上でそれを入れる必要はないというか、入れちゃったらむしろ主題がブレブレになるだろうなあと。複層的な物語であってもあくまで主体は彼であり、彼が彼自身に適応することを望みながら抗う姿、その変化に対する周囲の人間の反応というのは、大勢のプレイヤーにとって当たり前のところに根差すものであって、一番に描くべきはやはりシュンリの視点なんだろうなと思います。川岸の手紙とか、彼を操作しているからこその、後から響いてくるものがありますね。そういう細かな残り香というか、今と過去をつなぐもの、ちりばめられている断片が、一つの像に収束していくのが、すごく、すごかったです(語彙力)。
操作性で気になった部分 #
細かい操作性は、ちょっと遊びづらさを感じてしまった部分があります。選択肢によってキャンセルキーでキャンセルできなかったり、山菜とキノコの鑑別を山菜とキノコのどちらかを選んではいを押したらまた山菜とキノコの選択肢になるというずっと押してるとキノコまで辿りつけないゾーンがあったり、入るのに半マス移動の微調整が必要なドアが稀にあったり、マップが広いけれども移動速度は普通な感じなので経験値や材料稼ぐにも移動する時間が長くなったり、演出上目的地が明示されない状態で次のイベントに進む場所を探さなければならなかったり、それが低速歩行だともう何もなかった場所から戻るまでが過酷だったりと、色んな要素がちりばめられているだけに、それを回収する楽しさを味わうまでのハードルの微妙な高さがちょっと疲れにぶっ刺さりました。面白いのでついあちこち行ってメッセージ見たくなるんですよね……。ここがもう少し整備されてたら、もっと遊びやすくはなったかなあと。でもやはりボリュームと、世界観、物語の演出を考えると、この辺は仕方ないかなあとも思います。遊びやすさと演出の共存は難しいですね。ただそれでも中盤から後半のイベント動線は、もう少しハッキリしてたらありがたかったかなと。ラストの方、ダナ視点での会食シーン、あそこ何がイベントトリガーなのか分からなくて10分くらいテーブルのあたり調べまくってました(笑)。光ってるボトル思いっきり見逃してたなあ……。行く必要のない場所に行こうとすると行けないよ表示がされるのは分かりやすいのですが、サクサク移動できない場合はそこをしらみ潰しにするのも時間がかかるので、結構辛いですね。探索に面白さがあるゲームならではの難問かもしれません。操作性はなー、快適にしすぎるとやらされてる感が出る場合もあるからなあ……。
設定で気になった点 #
気になった点というか、世界の状態や、背景の設定をもっと見てみたかったなあと。最初は主人公にまつわる謎があるので、敢えてぼかしているのかと思ったのですが、後半は外部の描写も入ってきたこともあり、本編中のどこかで、調べれば出てくる感じででも、現代と古代の世界情勢や国の状態や政治や民族宗教割合、そこは島国なのか大陸国なのかどんな気候でどんな山がどれだけあるのかとか、ふわっとした感じでも知られると嬉しかったかもしれません。
正直、はじめはまったく架空の舞台の物語なんじゃないかと考えてまして。設定が150年後というだけで、明確に現代世界のどの地点からということが表現されていない気がしたので、これ今の地球上の延長線上のものだとは捉えない方がいいのかなあと思っていたのですが、進めていくとダナからイタリアというワードが出てきて、そこでようやく現在との繋がりを前提にしても良いかもしれない、と気付いた感じです。その後ピアノの曲とか星座とかで、現代からの流れなんだろうなと信じられるようになったのですが、ただこれ、物語の性質上個人視点に制限するために意図的に最初はぼかされていて、最後まで明言されないのも想像の余地を残すためかなあとも考えると、この辺どうこう言うのも無粋じゃねえかなあという気もします。
ただやっぱりこの、彼らの住む国の情報を、もっと知りたかったなあと。最初言語が英語っぽいし北国でウィスキーならアイルランドあたりかなーと思ったのですが、いやこれ基本は英語じゃねえなとなり、まあでも英語も使っている可能性は残るとしても、フランスから遠くはない北欧のどこかという可能性もあるし、いっそアイスランドかいやそこまで行かないか、でも他の国にせよヨーロッパはEU絡んでたら国際関係めんどくせえよなあ、でもロマノフってロシアっぽいのでは、いやでもロシアはヨーロッパ側じゃないとフランス近くないしというかロシアはロシアで色々めんどくさそうというかロシア近辺でも旧ソ連関係はやっぱめんどくさそうというか大陸国でも国が小さいとめんどくさそうというか、隣接国や近隣国によっては民族紛争や移民問題入ってくるしその辺どうなのか、エネルギー源は自国にあるのか他国に依存しているのか、領土領海はどの程度の広さなのか政治制度は何なのか軍隊規模とか警察機構とか、そういうのも知りたかったなあと。古代と現代どちらも含めて。というのも、シュンリの物語としては、彼は何をどうやっても、どこに彼が置かれても、彼のままであることが明示されているため、そこまでは必要ないとも思うのですが、シュンリに関わった彼らが、実際どのような時代のどのような世界に置かれていたのか、その前提が本編中にもっと描写されていれば、彼らの人間性をもう少し理解しやすくなったかなあと思いまして。その状態なら人間そうなる、という当たり前の状況の詳細が、個人のバックボーンが、その人間を縛りつける確固たるものが、想像しやすい形であれば、そこに生きていた人として、より捉えやすくなったかなと思います。まあでもこれも物語の主題を考えると以下略ですね。
核戦争も、どういう形で起こったのかなあと、妄想したりします。当事国の国家元首の決定なのか、議会か情報機関なのか、衛星墜落による防衛システムの暴走なのかテロリストの仕業なのか、なぜそこで核戦争となったのか。それを防ぐための国際的な取り組みはなかったのか。どの国のどの核ミサイルが使われたのか、国が発端ではなく暗躍する組織がいたのか、何かを成そうとする犯罪者集団がいたのか、やはり国同士のいざこざなのか。今の世界でもすべての状況が究極的に悪化すればやらかしそうな国は思い浮かばないわけでもないですが、まあやっぱりとんでもないことになるので、回避の努力はどの国もするんじゃないかと思うんですよね。それをさせない、あるいは物ともしないものとは何だったのか。どっかの大陸は吹き飛んでたりするんでしょうかね。北米大陸あたりとかズガーンと。ただ結局汚染って核戦争よりもその後の生物実験の影響が大きいんでしょうか。この辺陰謀論入るので、ちょっとどこまで信じればいいのか分からないまま進めてしまって、把握しきれてなかったりします。それまで多少奇妙な世界の中であっても人格のある人間、その人間関係が緻密に描かれていたので、そういう方向で物語が収束すると思ってたんですよね。そのため想像が及ばないというか、想像の外にある組織が現実化した時には、「!?」となりました。マジか!そっち系の話だったのか!と。もう少し注意払っとくべきだったなあ。落ち着いたらもう一回プレイしてみたいと思います。
こういうのを妄想するの好きで、ゲーム内の現代にしても、銃や新聞は製造できる文明なのか?それとも全部過去の遺物なのか。製造してるなら材料はあるのか、紙とかプラスチックとか作れるのか、銃は150年間で進化していないのか。新聞という形態・業種はずっと維持されているのか、変化はなかったのか、必要とされなくはならなかったのか。民間企業があるということなのか、国営企業があるのか、というか都市はどう維持されているのか体制はどうなっているのか、人類は結局どの程度残っているのかなどなど、考えたりもするのですが、やっぱりシュンリの物語としてそこまで要るか?ということになると、やたらと具体性入っても視点がブレちゃうよなあと。でもどういう世界に彼らが生きていて、生き残ったのか、その辺も入り込みたくなる設定でした。虫食う文化はあるわけで、じゃあ他の文化はどうなってるのか、スポーツとか残ってんのかなあとか。ラジオがあるってことは通信網はあるのか。送電塔とかもあるんですかね。でも機械化技術とかがあるならそれをインフラに応用するのも難しくはなさそうだし、というか機械系作るのにクリーンルームとかあるんだろうか。それとも有機体を利用してんのかなあ。いや利用は禁じられてるんだろうか? 考えるのが……楽しい……。
文章の改行 #
これ好みの問題だと思いますが、改行位置が文章単位(というか意味単位?)ではない(メッセージウィンドウの幅に合わせた文字数での改行がメインっぽい)のがちょっと可読性を落としててもったいないかなあと。何と言ったらいいか、例えられているもの自体を一つの文章として改行するとかの方が読みやすいような。でも読めないとかでは全然ないので、そこまでどうこうということでもないですね。というかこれその辺まで整備しようとしたら死にそうになる気がします。文章量がヤバイ。マップイベントでやってるとしたら、確認だけでも一苦労だよなあ……。個人的にはフォントも結構読みづらく、専門用語と合わさると目が!目が!となりましたが、気にならない人も多そうなので、これはもう個人の感覚の問題ですね。フォントもデザインのうちだろうしなあ。
追記(2019/07/23)
改行は、一概に文章単位にすればいいというものでもないなあと思ったので、一応追記。メッセージウィンドウ内で複数行になる場合、行末を揃えた方が、文字のバランスが整っていて読みやすいですね。ただ文章の中身によっては、敢えて行末のバランスを崩して強調したい部分を際立たせたり(例えば三行になる文章なら、一行目と三行目を長めに、二行目を短めにしてその行のみで意味が成立する重要なワードを入れると、そこに目がいきやすいような)、読点代わりに改行したり、文章のリズム的にここで一旦止まるといい感じになる的な部分で改行したりすると、表示上の読みやすさと、意味の認識のしやすさが両立できることもあるかなと思います。ただこれもまあ個人の感覚によるからなあ……一概に言えませんですね。
終 #
いやもう面白かったです。何というか本当に圧倒的な熱量でした。ゲテモノ系はビジュアル上のリアルな描写がなかったのでそんなにグロくなかったです。生食シーンがガンガンあったらヤバかったですね。足の多い虫を生きた状態で食べるのはちょっと……。でも最終的に料理になってるので安心です。美味しいは正義。イモムシも貴重なタンパク源ですしね。内臓がえぐいもの以外は揚げればいけるんじゃないかと思います。……食用油あるっけ? アクアパッツァ作れるならあるのか。あれ揚げるようなもんだよな。ただ食用油も虫からできてたりするのか。飛んでるワカメは捕まえづらかったですねえ。そういや海の捕獲だけ経験値金カウントが一行でレベルアップの表示もなかったのは呼び出しコモンが違ってたりするんだろうか。
下ネタはあれですね、先が猛烈に気になってる時は「それより話の続きを!続きを頼む!」となりましたが(笑)、人間の生活、あまり大っぴらにはされないけれど切っても切れないものを美化せず描いているのが、この作品の深さや濃度に繋がってるんだろうなあと。何よりシュンリという人物を描ききっているのがすごい。プレイヤーが見られる彼の過去は断片的なものですが、その短い部分に彼という人物の性質が凝縮されてるんですよね。そのチョイスと見せ方がもう半端ないです。もっと露悪的にもできるだろうに、想像の余地を残し底知れない恐怖を感じさせる。けれどほのめかし程度のものでもなく、手応えのある記憶として残る。完全無欠の人物でも唾棄すべき悪魔でもない、あるいは世界を変えるつながりを求めて足掻いていた一人の男として。これは本当に、いやもうすごいゲームだなあと思います。作品の構成的に、3Dゲーになっても面白いだろうなあ。
追記(2019/07/23) #
思い返してみると、何か色々書いてねえな!?ということがあったので、箇条書きにしてみます。長編はメモっとかないと漏れまくるなあ……思い出したら追加するかもしれません。
- 最初すっぽんで無双していく(敵を倒しまくる)展開になると思っていたので、後半キーアイテム化した時には、「マジか!!!!!!!!!」となりました。なるほどだからクエストだったのか、と。痺れました。でもあんなところに置いてたら、そりゃ持っていきますわ……トイレに置いた方が……いや使われると困るか……使用済みすっぽんは使いたくないよなあ……。
- そういやあの辺って下水どうなってんだろう。下水処理場あるんだろうか、それとも汲み取りなんだろうか。垂れ流しは……ないよなあ……。でも機械とか虫とか利用すれば、下水処理は結構いけるんじゃないかという気がする。
- レベルアップで覚醒も上がると狩りやすかったかもしれない。戦闘にも関わるのでキャップが入っていると思うのだけど(あるいは設定的にだろうか)、煙草作って使うのもシャワー浴びるのも操作が入ってくるので、1レベルごとじゃなくとも5レベル単位とかで10レベル単位で数ポイント上がるだけでも料理コンプがしやすそうだった。捕獲の際のキーが虫ごとに固有な分、ボタン押しゲーになるので、ひたすら同じキーを押すという作業の楽しさを味わうのに、覚醒の限界がアクセントではなく妨害要素になってしまったかなと。ただリソースがありすぎると単調になりすぎる面もあるので、これもまあ一概には言えないかなあ。
- ミオがシュンリに惹かれた理由として、ミオの知覚力で、冷凍睡眠中のシュンリとその周囲にある残留思念等にシンクロして、彼を守るべき存在だと、救うべき存在だと(あるいは守らねばならない、救わねばならない存在だと)感じたのかなと思ったりしたけど、単に顔と雰囲気の問題だったのだろうか。
- シュンリ視点で見ていても、ここのミオの感情の変遷が気になったので(なぜ最初からそうも好意的なのか、彼女にとってはいずれも大切な存在であっただろう古代人の中で、シュンリの何が特別だったのか)、その辺の描写も見てみたかったなあと。
- ミンの存在も関わってんのかなあ。
- 人魚ビビった。人魚怖い。
- OMOTENASHIは全回避すると何かあるかと思ったのですが、何だかんだでされてそうですね。あれ森か海かで展開変わるんでしょうか。最初に海選んだまま選択肢チェックしてないんだよなー。エンディング分岐のアイテムからすると、海ルートに統一されるのではという気はする。
- 最初の人魚がアレで、次に出てくるのがよく見る(?)人魚というのが、絶妙に良かったです。怖い。
- シュンリがイケメン扱いされない人魚界強い。
- アリの話いいですねえ。世紀末感あります。メタルマックス思い出して萌えました。いや燃えました。ああいうの好きだなあ。最後に絡んでくるシナリオも熱かったです。
- 虫とか人魚とかコッコとかで奇妙奇天烈な世界になりつつも、後半現実的なシリアス展開になっていくので、最初に見てきた彼らの生活、共に過ごした今の時代に戻ってきてくれたのが何か嬉しかったです。
- こういうシナリオだと、最終的に何も変わらず何も救われず厭世、絶望、退廃、諦観などで終わることもあると思うけれど、シュンリがそこから脱したことは、プレイヤーを裏切らないゲームだという証明な気がするので、注意書きの強調はそんなに要らんのではないか、とも感じた。
- 今のシュンリが最終的に過去のシュンリに乗っ取られて(?)終わると、「今までのは……徒労だと……!?」となるけど、そんなことはなかったので。
- 記憶喪失の人物が主人公で、段々過去が明らかになっていき、実はすげえヤバイ人間だったと分かる、という展開は、伏線が張られていれば、それ自体が足を引っ張る仕掛けではないと思う。というか、エンタメ系としてはそういう謎とか裏があって、カタルシスにもつながる話が求められてんじゃないかなあと。そういう点では安心してプレイして良いと言える作品な気がする。とはいえ注意書きは難しいなあ……。
- シュンリはリアルだと絶対関わりたくないタイプの人間で、同情の仕様もないと思うものの、この物語にあっては彼が生に足掻く姿、自業自得によって失恋する様を、そう至る世界を、そこに至る自分を変えられない彼の持つ苦しみを、今と過去の彼の存在を通して感じられるので、そういうプレイも一つの感情移入になるのかもしれない。
- 道理を持たない男が、満たされるために道理に沿った様を演じて、自分ではそれが通用していると信じていて、結局一つも満たされず何も得られず破滅していく。その滑稽さと極悪さを、現代のシュンリが受け止めて、自棄になりつつも他人の明確な生のために進んでいくのは、しっかりエンタメだよなあと思う。
- コッコ勝てねえ。
- コッコを迷いなくやるシュンリは、ヤバイ感が出てて良かった。
- ショットガンで撃つと可食部位どうなんだろう。でも溢れ出る可食とか言ってる場合じゃねえ感。
- ラスト付近のシュンリの子供時代話の、直接明言されないえぐさがすごかったです。
- 檻あるのか……。
- お前が勝ってたのか……。
- ミンとの火事の話時点だとまだ子供の蒙昧さがゆえという可能性が残っているけど、ここまでくると彼が最初からどうしようもない存在だったと確信できるのが、クライマックス感があってすごい。
- といっても外的要因の影響もあったのだろうなあと。
- 愛しているから直そうとして、愛しているから見過ごそうとする。あそこまで放り出さなかっただけみんな偉いよなあ。対処的にはもっと早く放り出すべきだったのかもしれないけども。
- ただ普通の愛が普通に響く人間じゃなかったという。
- シュンリ、お前EDだったのか……。
- 生殖機能自体がアレなんですかね。強制採取はできなくもなさそうな気もするものの。
- 元々は元気だったんだろうか。サイコパスの性事情は想像つかんなあ。
- 人造人間って中身機械じゃないのか……?
- 何かドラゴンボールとかターミネーターに出てくる系をイメージしてたんですが、ミオは普通の人間っぽいような。
- 遺伝子組み換えされた人間って感じなんですかね。シキの方が機械化されてるんだろうか。
- みんなシュンリがいなければ平和に生きてたんだろうなあ。
- あの世界の平和が続く限りではあるけれど。
- まあ大国とか大金持ちとかは裏で色々やってそうなロマンがある。小国でも金があればワンチャンありそう。
- 突き詰めると金と倫理の問題なので、両方突破できる状態なら生き残りも多そうだけど、その後の汚染の影響をどれだけ防げるかにかかってるのかもしれない。
- 一人感覚の違う人間(しかも行動力が半端ない)がいるだけで、ここまですべてが破壊されていくのだなあと。
- ただみんなやはり普通の人間で、それでも責任を投げ出さず、その時点でできる限りをやろうとしていたのが、刹那的なシュンリのどうしようもなさを際立たせていたなあと。
- だからそういう人たちの裏事情ももう少し見たくなったのかもしれない。
- まともな人間は貴重だなあ……。
- あの世界の平和が続く限りではあるけれど。
- ゾンビ!ゾンビ!
- バイオハザード!
- 生物災害!
- あの汚染の規模も気になる。どのくらいまで実験してたんだろう。レポートとか残ってるんですかね。